接着剤施工

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接着剤施工(グルーダウン施工)

ラミネートフロアの接着剤施工について

ラミネートフロアの置敷き施工のおさらい

ラミネートフロアの施工説明は、どのメーカーも下地材とフロア材を固定しない(固定してはいけない)置敷き施工の説明です。動画投稿サイトYouTubeでもラミネートフロアの施工は置敷き施工の説明です。(階段だけは例外で、ラミネートフロアは接着剤施工)
これらの置敷き施工の施工現場は、すべて欧米住宅の1部屋のリフォームで床下地はスラブ仕上げです。
具体的に説明しますと、①既存床仕上げ材を剥がし掃除して、②床下地の不陸を確認し、③防湿シートを敷きその上にクション材を敷き、④ラミネートフロアの1列目は幅を落とさずに施工し、⑤クリック施工はメーカー毎に異なり、⑥最終列は幅を落とし、⑦巾木を取り付けて完成。⑧追加説明としてドア枠の下端をカットするなどの説明があります。
以上、欧米の1部屋リフォームでは簡単に施工できるため「ラミネートフロアは簡単施工」との説明となっています。
 
しかし、日本ではラミネートフロアは複合フローリング同様に、廊下や複数の部屋に施工されているのが実態です。また、日本には框材(上がり框など)、掃き出し窓、和室の敷居などがあり、巾木の厚さも欧米のような15mmではなく、9mm以下の巾木が主流となっていますので、欧米と同様な施工が困難な現場が多く存在するため「簡単な施工」ではありません。
 

2010年、ラミネートフロアの接着剤施工を開始した経緯

ラミネートフロアの魅力は二つあります。
一つ目は床下地材とフロア材を固定しない「置敷き施工」、二つ目は床材に必要な機能や性能が極めて高いレベルであることとなります。ラミネートフロアの耐摩耗性は複合フローリングの何十倍もあり、食器を落としてもフロア材にはダメージ(凹み)が発生しない、または軽微なダメージです。
 
2008年、ラミネートフロア(クロノテックス)を輸入し、物理的性能の高さを実感しましたが、日本の住宅で施工するには「置敷き施工」では限界があるため、複合フローリング同等の「接着剤施工」の可能性を調べました。具体的には構造用針葉樹合板(12mm)にラミネートフロアを接着剤(ウレタン1液)で貼り付けて、構造用合板とラミネートフロアの膨張(または収縮)が同程度であるかの小試験を実施。膨張率が不一致であれば、膨張率の低い方に反ります。小試験では、合板側にもラミネートフロア側にも反りはなく、同程度の膨張率であり「接着剤施工は可能」と判断しました。
 
2010年、「傷に強いフローリング」をお探しの施主様から採用希望の依頼があり、住宅メーカー様を含めた3者で打ち合わせした結果、「フローリングは施主様持ち込み」、「住宅メーカー指定の床勝ち施工をする」の2条件で施主様希望のラミネートフロアが採用となりました。「床勝ち施工」では置敷き施工はできませんので、初めてのラミネートフロアの「接着剤施工物件」となりました。当物件は2階建、延べ床面積50坪、温水式床暖房の鉄骨系プレハブ注文住宅、商品はクロノテックス ラミネートフロアMAMMUT(厚さ12mmの最高級品)。施工5年後、床の傷や凹みはなく、快適にお住まいと聞いております。
当物件から新築住宅やマンションでは、約半数が「ラミネートフロアの接着剤施工」が採用となっています。

接着剤施工の魅力と推奨物件

接着剤施工の魅力

ラミネートフロアの接着剤施工は、複合フローリングの施工方法と同じです。ラミネートフロアの裏面に接着剤を適量塗布し、床下地材に固定します。接着剤だけではなく、フロア材の下端実にタッカー留めやステープル留めを併用します。

  • 「複合フローリング施工方法」と同じため、特別な説明が不要なため「施工ミス」が少ない。(次項「接着剤施工の注意点」参照)
  • 施工各列の張り始め長さと張り終い長さ40センチ以上の条件がなくなる。
  • 施工1列目と最終列の幅サイズの条件がなくなる。
  • 框材(上がり框、階段框など)、掃き出し窓、敷居などとフロア材の納まりは「複合フローリング施工」と同様。
  • ソフト巾木を含め、従来の副資材が使用可能。

 

接着剤施工の推奨物件

  • 新築住宅の床材(床暖対応)
  • 住宅床のリフォームで、2部屋以上の連続する床施工
  • 框材、敷居材などと接する床材施工
  • 施工面積が広く、見切り材が使用できない床施工
  • 店舗、事務所など(一般的に店舗や事務所の施工は住宅より簡単な物件が多い)

接着剤施工の注意点

「置敷き施工」と「接着剤施工」の相違点について

ラミネートフロアの置敷き施工:
 ラミネートフロアは「置敷き施工」用に特殊形状のクリック(実)加工がされています。フロア材長辺の嵌合力で施工後は連続した1枚の床仕上げ材となります。「置敷き施工」は一部でも床下地材に固定するこはできず、施工後のフロア周辺部にはフロア材の膨張を考慮した隙間を空ける必要があります。 
ラミネートフロアの接着剤施工:
ラミネートフロアの「接着剤施工」は、接着剤の接着力でフロア材を床下地材に固定する施工です。従いまして、フロア長辺のクリックの嵌合力は不要ですが、フロア材の1枚毎の接着力は必須となります。施工性が悪い箇所では、フロア材の長辺または短辺のクリックを削り取っても施工できます。
 

接着剤施工の注意点ならびに施工不良となった事例

接着剤施工の注意点:

  • 床下地材は、針葉樹合板、OSB、PBなどの木質面材とする。既存フローリングの上に重ね張りも可能であるが床下地材として、固定されている、床鳴りがない、不陸がないなどの条件付きとする。
  • 床下地材は、根太やコンクリートスラブに固定する。固定していない床下地材は不可。
  • 床下地材の床鳴りや不陸は、ラミネートフロア施工前に解消しておく。
  • 接着剤はフローリング施工用を使用し、ラミネートフロアの裏面に塗布する。塗布量は接着剤の説明書に従う。
  • 全てのラミネートフロアに接着剤を塗布する。
  • ラミネートフロアと床下地材を圧着させる。
  • ラミネートフロアの下端実にタッカーまたはステープルを打ち込み床下地材に固定する。
  • ラミネートフロア短辺のバネ(短辺同士の嵌合するためのバネ)、長辺嵌合用のクリックの下端の実は、施工性が悪い場合は、取り除くことができる。
  • ラミネトフロアの表面に付着した接着剤は、硬化する前に拭き取る。ウレタン系接着剤はエタノールを染み込ませた布で綺麗に拭き取れる。


接着剤施工で不良を起こした事例:

  • 床下地材が、根太などに固定していない。または固定が不十分。
  • ラミネートフロアの張り始めと張り終いだけを接着剤施工とした。
  • 接着剤塗布後に、圧着しないまま昼食となり接着剤が厚みがある状態で硬化した。
  • 接着剤塗布量不足。ラミネートフロアでも複合フローリングと同量の接着剤塗布量とする。
  • 床下地剤に撥水剤が塗布されていて接着不良を発生。ツーバーフォー住宅では撥水剤塗布の有無を確認する。
  • 意図的な手抜き工事。ラミネートフロア接着剤施工も手抜き施工はできません。

接着剤施工の説明 

クロノテックス施工で使用する切削工具と小物


①クロノテックスラミネートフロア:施工面積プラス5%(〜10%)
②替え刃式手鋸(必須):長さカット、1列目と最終列の幅カットなどオールマイティー。
③電動丸鋸(あると便利):必須ではありません。
④台付電動丸鋸(あると便利):1列目と最終列の幅カットで有効。
⑤ジグソー(あると便利):②の手鋸では体力が必要、ジグソーは比較的安全でオールマイテー。
⑥のみ(ケースバイケースで必要)
⑦カッター:フロア材の長さカット線を引く、ラミネートフロア箱の開梱


①施工説明書:置敷き施工では「置敷き施工用」、接着剤施工では「接着剤施工用」の施工説明書。または本サイトの施工説明のメモ書き。
②電卓、メモ用紙、メジャー、直角定規、鉛筆など

 

接着剤の塗布量と注意点


①フローリング施工用接着剤:画像の接着剤はウレタン1液
②グルーガン:ガンを使用しないで手で絞リ出す塗布方法では、塗布量不足に注意。
③接着剤塗布量:接着剤説明書記載内容に従う。
④タッカー、ステープル、フロア釘:接着剤留めとの併用を推奨。


接着剤塗布時の注意事項
①フロア材を裏返して、裏面に接着剤を塗布する。
②フロア材の周辺部には接着剤を塗布しない。
当フロア材を嵌合する時に手に接着剤が着かないように塗布する。
当フロア材嵌合後の圧着で接着剤がはみ出さない範囲内で適量を塗布する。
フロア材表面に接着剤が付着した場合は、エタノールを染み込ませた綺麗な布で拭き取る。接着剤が硬化すると取り除くことができないため注意する。
③接着剤のノズルは4本口や1本口があり、ノズルの口数により塗布方法が異なる。ノズル1本口は細部まで塗布できるためノズル1本口を推奨。
④接着剤を塗布したフロア材は、嵌合後に圧着し接着剤を薄く伸ばす。
⑤接着剤が硬化する前に、フロア材下端の実をステープルなどで床下地材に固定する。
 
図のノズル1本口塗布では、上段の波状の塗布を推奨。
図のノズル4本口塗布の1回塗りでは塗布量が接着剤メーカー指定塗布量より少なく、2回塗りでは塗布量が多くなるため、ノズル4本口の使用勝手は悪いと思慮。 

ラミネートフロア施工の準備から完成までの説明(全体の流れ)

施工の前準備、1列目の施工、2列目以降の施工、最終列の施工など全体の流れを説明いたします。

1. 不陸は1メートルで1mm

①不陸調整が必要な現場は、二重床または厚さ12mm以上の構造用合板などを捨て張りする。

2. 床下地材の確認

①床下地材は、針葉樹合板、OSB、PBなどの構造用面材が最適である。
②床鳴りがする場合は、補修する。
床下地材は、根太などに確実に固定する。

3. フロア材の張り方向を決める

①L3を求め、L3を張り始め1列目まで移動し、壁の曲がりや変形に合わせ1列目の幅をカットする。1列目の幅と最終列の幅は、置敷き施工では50mm以上であるが、接着剤施工では不問。
②置敷き施工では各列の張り始めフロア材の長さと張り終いの長さを約40センチ以上とするが、接着剤施工では不問。
 

4. 1列目幅カット線を引き、カットする

1列目となるフロア材の短辺を勘合し、前項3で求めた切り落とし幅に従い、壁の曲がりや変形に沿ってカット線を引き、フロア材の勘合を外し1枚ずつ幅をカットする。
①1列目となるフロア材の勘合は、幅カット時に嵌合を解除するため、フロア材短辺のバネを外して嵌合する。
②嵌合した1列目を切り落とす幅を考慮しL3(前項3を参照)に平行に置く。
③長さ30センチ前後のフロア材の一方を壁に押し付けたまま端から端まで移動させ、同時に他方に鉛筆で線を引く。この線が1列目幅のカット線となる。
④フロア材の嵌合を解除し、①で取り外したバネを元に戻す。
⑤カット線に合わせ1枚ずつカットする。(バネも同時にカットする)
⑥壁際に隙間確保のスペーサーを置き、フロア1列目の施工をする。
注)壁の曲りや変形に沿って1列目の幅をカットしたため、⑥のスペーサーは等厚のスペーサーが使用可能である。

5. 防湿シート、クッション材、減音シートなどは使用できない

①接着剤施工はラミネートフロアを床下地材に直接接着剤で固定する施工である。
②このため、防湿シート、クッション材、その他減音シートなどは使用できない。

4. くさび形スペーサーは不要

①壁際の隙間は、使用する巾木で隠せる程度の隙間とする。
②スペーサーは、クロノテックス純正クサビ型スペーサーではなく、目的の隙間に合った板材とする。スペーサー用板材の厚みは等厚とする。
③ソフト巾木も採用できる。
④框材と床材は隙間なしで施工できる。

5. 1列目の精度が重要 

1列目フロア材のジョイントの精度は、2列目以降最終列までの施工に影響する。1列目のフロア材は長辺が一直線になるように施工する。最善の策として、1列目の各短辺のジョイントの精度確保のため長さ40センチメートル前後のフロア材を短辺ジョイント部に嵌合(ジョイント)し、2列目の施工時に順次取り外す。

(EN13329規格の隣接するフロア材の隙間規格からの説明)
EN13329 Annex B(隣接するフロア材の隙間)では、平均0.15mm以下、最大0.20mm以下が規格となります。クロクロノテックスの同試験結果は0.00mm、隙間はありません。従いまして、1列目の幅嵌合が僅かでもずれていると2列目の施工は困難で、2列目の施工が困難であれば、最終列まで施工に手こずります。長辺の嵌合ができないときは、クリックにおが屑などの異物が入っている可能性がありますので、その時は異物を取り除いてください。または、フロア材の不良かもしれませんのでフロア材を替えて施工してください。あて木を当てて長辺を嵌合する行為はNGです。


6. メーカー説明施工の乱張りについて

各メーカーとも、各列の最後の1枚(張り終い)は必要長さにカットし、残長は次列の張り始めに使用する「乱張り」説明である。また、フロア材のカットした長さは張り終いも張り始めも40センチメートル以上とするルールがある。置敷き施工ではフロア材長辺の勘合力が必要なためフロア材の最短長さを40センチとしている。
接着剤施工では、フロア材長編の勘合力ではなく、接着剤の接着力でフロア材を床下地材に固定するため、フロア材の最短長さは不問(any)である。
図のような乱張り施工でも施工時間は複合フローリング施工より大幅に短縮できるが、2列または3列同時施工は乱張り施工より施工時間が短縮でき綺麗な仕上がりとなる。(事項7を参照)

7. 施工時間を短縮する推奨割付施工

①乱張り:2列目以降は、2列または3列同時に施工する。(図の上側の施工)
②1:2の均等割付け(レンガ張り):2列同時施工となる。(図の説明なし)
③1:3の均等割付け施工:3列同時施工となる。(図の右下の施工)
④1:4の均等割付け施工:4列同時施工となる。(図の左下の施工)

8. クロノテックスのクリック施工

クロノテックスのクリック施工はExpress Clic、工具もハンマーも不要の最新式。
①前列の施工済みフロアに斜め15度から30度の角度で差し込み、右側のフロア材に密着させる。
②下へ降ろしていくと、右側フロア短辺のバネが押されて引っ込む。
③さらに降ろしていくと、バネが戻り、フロア材の長辺と短辺の嵌合が同時に完了する。
④接着剤施工では、③で勘合が完了した後に当フロア材を圧着させるため、当フロア材の上に乗り接着剤が均等に薄く伸びるよう踏み込む。または施工前のフロア材の箱を乗せて接着剤を圧着させる。
⑤接着剤が硬化する前に、フロア材下端の実にステープルまたはタッカーで床下地材に固定する。

接着剤施工では、フロア材短辺のバネを取り除いて施工することができる。バネを取り除くと施工性は良くなるが、フロア材短辺の目違いをなくすため前項5(1列目の施工)の補助材による勘合をする。


9. 最終列の施工

最終列フロア材の幅カットは、壁の曲りや部屋の変形に合わせてカット線を引きのが注意事項。
①最終列の長さに合わせ、フロア1列を嵌合する。
②図を参考にし、最終列のカット線を引く。
③①の嵌合を外し、フロア材を1枚ずつカットする。(短辺嵌合用のバネも同サイズにカット)
④③のカットで、バネが有効でない場合は、フロア短辺の下端に木工ボンドなどの接着剤を適量塗布し短辺フロアの嵌合とする。接着剤が硬化するまで、重しを乗せて養生する。
 
以上にてフロア施工は完了、すべての嵌合を目視で確認し、問題がなければ、巾木などを取り付けて、すべての施工が完了です。

  

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